●家賃とインフレ

2013/03/02

杉浦さんは鬼ですね。10年以上もいる入居者に家賃値上げだなんて。

僕の管理会社の担当者はそういってしぶしぶ、横浜に所有するマンションの家賃8万円の部屋の入居者に5000円の値上げをお願いしに行った。

その3日後、3000円まではokだとの返事。

安倍首相が日銀にインフレターゲット2%を設定させる動きが話題になっているが、これが日本の不動産市況でのゲームチェンジに繋がるのではないかと僕はひそかに期待している。

すでに日本の物件価格自体はアベノミクスへの効果期待そして銀行の融資姿勢の積極化でジリジリ値があがっているのは皆さんもお気づきであろう。

僕は瞬時にすぐ反応する価格の方ではなく、むしろ硬直性の高い家賃の動きにあえて注目している。

日本の消費者物価指数CPIの内訳を見ると、家賃の比重はほぼ20%。よって、家賃が上がらずして、インフレ2%はかなり無理があるはずである。そして、家賃が上がるには、何と言っても、賃金が上がらないといけない。

http://www5.cao.go.jp/keizai3/monthly_topics/2012/0518/topics_007.pdf#search='cpi+構成割合'

安倍首相は異例にも、経団連など企業に賃金をあげるように依頼していると伝わっている。これがもし実行されると、賃金上昇>家賃上昇>インフレ目標達成というシナリオが成り立ちやすくなる。実際、メガネ業界のユニクロであるJINSはすでに6%の賃上げを発表しているし、コンビニ大手各社も賃上げを発表しはじめている。

日本の家賃はご存知のようにバブル崩壊依頼、毎年少しづつ下がってきている。

一方、アメリカを見てみると、実はリーマンショックの2008年のあと一時家賃は急激に低下したあと2010年ごろからむしろジリジリと上がってきているのだ。ちなみに、アメリカのCPI のうち家賃が占める割合は日本よりさらに大きく30%を超える。

ちなみにアメリカの家賃の上昇は、差し押さえで家が買えなくなった人が賃貸市場にどっと流れたことによると説明されている。

確かに、米国は人口が年平均1%弱づつ増えているのに対して、日本は人口は減少している。しかし、日本の人口のピークは2007年頃であったので、人口減が理由だとすると、何十年も家賃が下がり続けているのは説明がつかない。

空室率はというと、日本の全国平均20%に対して、米国でも空室率が10%以下のエリアはむしろ少ない (ちなみに空室と一言で言っても、部屋がどのような状態かとか、大家のやる気度とかによって、一概に比較できないのは、日本で不動産投資をしている人はよくご存知だろう。)

ここでも、実は米国の徹底した金融緩和が大きく貢献しているのではないかと思える。

アメリカがリーマンショックに陥ったとき、日本では、米国よ、ほれ見ろ、日本と同じように再起不能になるぞ、という論調があったが、数年経って、中央銀行の徹底した金融緩和が効をそうしてやっと景気回復の兆しが見えてきた。今週はダウも高値更新だ。

それを見た日本が今度はうちもああいうやり方でやってみよう、というのが、今回のアベノミクスだと僕はみている。

そもそも少子化問題だって賃金が上昇していれば家計が上向くので解決するかもしれないし、財政赤字でもう他に手のうち用もないので、手段を選ばない金融緩和が最後の切り札なのかもしれない。

じゃあなんで、20年前にやらなかったんだよ、という話があるがそれはおいといて、僕に言わせればインフレなんて先行きの期待値が重要で、さっきのメガネ屋が価格転嫁する前にもう一つメガネをかっとこう、という消費者の動きが大切なんだと思う。

同じように大家も、アメリカでも日本の物件でも、人口統計だとか空室率みたいなマクロの数字にビビらずに、上げれるエリアや物件ではどんどん遠慮せずに家賃値上げ交渉に踏み切り、日米の景気浮揚策に貢献しようではありませんか!

杉浦





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